この記事は Kubernetes道場 Advent Calendar 2018 23日目の記事です。
今回は kubectl
のサブコマンドについて網羅していこう。
kubectlについて
とりあえず、kubectlのヘルプを見てみよう。
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この通り、多くのコマンドがある。カテゴリごとで見ていこう。
Basic Commands (Beginner)
基礎コマンド初級編。
create
createコマンドはリソースの作成を行う。
今までも何度か扱ってきたが、 -f
オプションとManifestファイルを使った作成方法やサブコマンドを利用した方法がある。
サブコマンドを使った方法で作成できるリソースは以下のものだ。
- clusterrole
- clusterrolebinding
- configmap
- deployment
- job
- namespace
- poddisruptionbudget
- priorityclass
- quota
- role
- rolebinding
- secret
- service
- serviceaccount
以下が使用例だ。
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expose
Deploymentなどのリソースを公開するためのコマンドだ。実際にはそれに対応するServiceを作成する。
Deploymentに対応したServiceをサクッと作成したいときに便利なコマンドだ。
以下が使用例だ。
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run
DeploymentやJobの実行を行うコマンドだ。
createとかなり近い感覚を感じるが、こちらは作成したDeploymentにアタッチすることができる。
以下が使用例だ。
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set
指定リソースの項目を設定する。サブコマンドには以下の項目がある。
env
: 環境変数の設定image
: イメージの設定resources
: リソースのリクエストやリミットの設定selector
: Selectorの設定serviceaccount
: ServiceAccountの設定subject
: RoleBindingやClusterRoleBindingのUser / Group / ServiceAccountを設定
自分の経験上このコマンドはあまり使用していない。
以下が使用例だ。
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Basic Commands (Intermediate)
基礎コマンド中級編。
explain
リソースのドキュメントが表示できる。
コマンドの引数にフィールドを .
でつなげることでそのオブジェクトに含まれるフィールドのドキュメントが出力される。
このフィールドなんだったっけ?という疑問にCLIで解答が探せるぞ!
以下が使用例だ。
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get
リソースの取得・表示だ。
LabelSelectorを使った取得( -l
, --selector
)や全Namespaceからの取得( --all-namespaces
)、出力フォーマットの指定( -o
, --output
)などのオプションを利用して柔軟なリソースの取得を行える。
以下が使用例だ。
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edit
指定リソースをエディタで編集する。
運用時には選択肢として入らないと思うが、テスト・開発中ではかなり便利だと思う。
また、 KUBE_EDITOR
という環境変数にエディタをセットしておくとそのエディタで編集することが出来る。
以下が使用例だ。
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delete
リソースの削除だ。
リソースの選択についてはLabelSelector( -l
, --selector
)も使える。
また、名前空間にあるリソースを一掃する際には --all
が便利だ。ただ、一掃できる危険なコマンドなので注意してほしい。
Podがなかなか削除されないときなどに --grace-period=0 --force
という組み合わせたオプションを利用することがよくあるので覚えておくと良いかも知れない。
以下が使用例だ。
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Deploy Commands
デプロイに関するコマンド。
rollout
リソースのロールアウトを管理するコマンドだ。以下のサブコマンドを持っている。
history
: ロールアウト履歴の表示pause
: ロールアウトの一時停止resume
: ロールアウトの再開status
: ロールアウトのステータスを表示undo
: ロールバックの実行
このコマンドについては Kubernetes道場 8日目 - ReplicaSet / Deploymentについて で扱っているので参考にすると良いだろう。
以下が使用例だ。
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scale
リソースのスケール処理を行う。具体的にはリソースの replicas
の変更を行う。
スケールするためだけであれば apply
や edit
などよりこのコマンドを利用したほうが簡単だ。(操作性的な観点のみ)
以下が使用例だ。
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autoscale
オートスケールのルールを設定する。
Podの最大数( --max
)だけ指定が必須だ。 CPU使用率を使ったスケール( --cpu-percent
)を設定することも可能だ。
以下が使用例だ。
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Cluster Management Commands
クラスタ管理に関するコマンド。
certificate Modify certificate resources.
KubernetesのCSRを管理するコマンドだ。
以下が使用例だ。
サブコマンドで approve
と deny
があり、CSRを許可または拒否する。
以下が使用例だ。
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cluster-info
クラスタの情報を表示する。
cluster-info
だけを実行するとKubernetesのMasterの接続情報を表示する。
また dump
サブコマンドがあり、クラスタの状態を出力する。 --all-namespace
オプションを付けてクラスタ全体の状態をdumpすることも可能だ。
以下が使用例だ。
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top
NodeやPodのリソース使用量を表示する。
このコマンドを使用するにはheapsterというコンポーネントが入っている必要がある。
以下が使用例だ。
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cordon
指定Nodeをスケジュールできないようにする。
このコマンドは Kubernetes道場 21日目 - Cordon / Drain / PodDisruptionBudgetについて で解説しているので、詳しく知りたい方は参考にしてほしい。
以下が使用例だ。
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uncordon
指定Nodeをスケジュールできるようにする。
このコマンドは Kubernetes道場 21日目 - Cordon / Drain / PodDisruptionBudgetについて で解説しているので、詳しく知りたい方は参考にしてほしい。
以下が使用例だ。
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drain
Nodeを停止させる前準備としての処理を行う。具体的にはcordonとPodのEvictionを行う。
このコマンドは Kubernetes道場 21日目 - Cordon / Drain / PodDisruptionBudgetについて で解説しているので、詳しく知りたい方は参考にしてほしい。
以下が使用例だ。
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taint
NodeにTaintを追加する。
このコマンドは Kubernetes道場 18日目 - Affinity / Anti-Affinity / Taint / Tolerationについて で解説しているので、詳しく知りたい方は参考にしてほしい。
以下が使用例だ。
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Troubleshooting and Debugging Commands
トラブルシューティングとデバッグに関するコマンド。
describe
指定したリソースの詳細を表示する。
リソースの設定や、状態、イベントの履歴などが表示される。
以下が使用例だ。
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logs
コンテナのログを表示する。
このコマンドはアプリケーションのデバッグの際に非常に有用なので覚えておくといいだろう。
Podに複数のコンテナがある場合は -c
オプションでコンテナを選択する。
以下が使用例だ。
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attach
Pod内のコンテナにアタッチする。
このコマンドはほとんど使うことはないだろう。Dockerのattachコマンドと内容は同じだ。
以下が使用例だ。
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exec
Pod内のコンテナでコマンドを実行する。
このコマンドはデバッグの際に非常に有用なので覚えておくといいだろう。
以下が使用例だ。
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port-forward
Podに対してのポートフォワードを行う。
ローカルで実行するkubectlとPod間でポートフォワードを作成してくれる。
ポートの指定方法は以下の方法がある。
8080
: ローカルの8080番とPodの8080番の間で作成8080:80
: ローカルの8080番とPodの80番の間で作成:80
: ローカルのランダムなポート番号とPodの8080番の間で作成
以下が使用例だ。
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proxy
KubernetesのAPIサーバーへのProxyサーバーとして動作させる。
これのいいところはkubectlで使用してた認証情報を利用してくれるところだ。
これはKubernetesを拡張したい人向けだったりするので、アプリ開発者の方などは特に気にしなくていいと思う。
以下が使用例だ。
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cp
PodのコンテナへファイルをまたはPodのコンテナからファイルをコピーする。
Podのコンテナからファイルをコピーしてくる場合はまだいいが、Podのコンテナへファイルをコピーする操作は可能だが、運用的な観点から避けたほうが良いだろう。
この操作が可能なのは対象のコマンドにtarコマンドが入っているコンテナのみだ。
以下が使用例だ。
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auth
認証認可に関するコマンドだ。サブコマンドが2つある。
can-i
: 指定した操作が許可されているかを確認するコマンドreconcile
: Role / RoleBinding / ClusterRole / ClusterRoleBindingのルールをチェックする
通常ほぼこのコマンドを触ることはないが、 can-i
は権限の確認、 reconcile
はRBACのリソースを適用する前に実行しておくと良いだろう。
以下が使用例だ。
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Advanced Commands
上級者向けコマンド。
といっても割と使うものもある。
diff
指定したリソースのdiffを出力する。
diffがあった場合にexit statusが変化するためCIなどの差分チェックなどで利用できるかも。
以下が使用例だ。
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apply
指定したリソースの設定を適用する。
ない場合は作成され、既にある場合は差分を適用する。
実行時に明確な作成や更新、という意味をもたせる意味がないのであればこのコマンドで一本化できるので非常に便利だ。
以下が使用例だ。
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patch
指定したリソースにパッチを当てる。
-p
オプションで変更したい部分だけのオブジェクトを指定する。
なれるまで大変だが、なれると少しの変更についてはこのpatchコマンドが使いやすくなる。かも。😅
以下が使用例だ。
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replace
リソースを置き換える。
kubectl apply
のリソースの更新の別コマンドと覚えておくとよいだろう。
- 作成
kubectl create
kubectl apply
- 更新
kubectl replace
kubectl apply
- 削除
kubectl delete
kubectl apply --prune
ORkubectl delete
このような関係になっていると私は理解している。こう見ると apply
が便利すぎる。。。
以下が使用例だ。
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wait
指定したリソースの状態になるまで待機する。
v1.13.1現在でこの機能はExperimentalだ。なのでここでは詳しくは解説しない。
使用例だけ載せておこう。
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convert
ManifestのAPIバージョン間の変換を行う。
--output-version
オプションで変換後のバージョンを指定できる。
使用例だけ載せておこう。
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Settings Commands
label
リソースにLabelを追加、更新する。
このコマンドは Kubernetes道場 17日目 - Label / NodeSelector / Annotationについて で解説しているので、詳しく知りたい方は参考にしてほしい。
以下が使用例だ。
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annotate
リソースにアノテーションを追加、更新する。
このコマンドは Kubernetes道場 17日目 - Label / NodeSelector / Annotationについて で解説しているので、詳しく知りたい方は参考にしてほしい。
以下が使用例だ。
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completion
bashやzshの補完スクリプトを出力する。
以下が使用例だ。
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Other Commands
その他のコマンド。
api-resources
サポートしているリソースを表示する。
--namespaced
オプションでNamespaceで分離される/されないリソースのみを表示できる。
また、このコマンドでリソースの短縮形の確認が可能だ。
以下が使用例だ。
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api-versions
サポートしているAPIバージョンを表示する。
形式は <Group>/<Version>
で出力される。
以下が使用例だ。
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config
kubeconfigの設定を変更する。
このコマンドには以下のサブコマンドがある。
current-context
: 現在使用しているコンテキストの表示use-context
: 使用するコンテキストの選択rename-context
: コンテキストのリネームget-contexts
: コンテキストの取得set-context
: コンテキストの追加/更新delete-context
: コンテキストの削除get-clusters
: クラスタ情報の取得set-cluster
: クラスタ情報の追加/更新delete-cluster
: クラスタ情報の削除set-credentials
: クレデンシャルの追加/更新set
: プロパティ名と値を指定した情報の追加/更新unset
: プロパティの削除view
: kubeconfigの表示
このコマンドだけで1記事かけそうな物量なので別の時に解説できればと思う。
以下が使用例だ。
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plugin
kubectlのプラグインについてのコマンドだ。
v1.13.1現在ではサブコマンドで list
のみが実行できる。このサブコマンドは利用できるpluginをリストアップしてくれる。
以下が使用例だ。
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version
kubectlのバージョンとサーバー側のバージョンを表示する。
--client
を指定することでサーバーに通信せず、kubectlのバージョンのみ表示するようになる。
以下が使用例だ。
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というわけで今回はここまで。
次回はKubernetesの各コンポーネントについて見ていこう。
それでは。